イパネマの娘  [矢野沙織]

いつか、もう本当にいつかの日。

私がまだ二十歳に近い年齢だった頃、ドライブ中に予定にはなかったビーチへ立ち寄ってみた時。
せめて足元だけ海に入りたくなり、近くの簡単な海遊具売り場で何の気なしに買った青いビーチサンダルがある。

しばらく気付かなかったのですが、ある時ふと足元を見ると「IPANEMA」の文字。

イパネマ

「イパネマの娘」と言う曲を連想したのは言うまでもないかも知れません。
この曲には、ある思い出があるお話をしようと思います。

私に会った事がある方ならば、私がいつの年齢の時も普通より背の高い女である事を知っているはずです。
何しろ産まれた時から大きかったのですから、子供の頃からノッポで目立ってきたものでした。

特に小学生の時などは背の高いのがとても嫌でした。
それが人前に出て演奏する様になる中学生になっても、また時に背が高いことを褒められたりもする頃の高校生になってもとても嫌だったもので、ハイヒールなんていう靴はあまり視界に入ってすらいない代物でした。

そんな日々を長いこと過ごしていたある日、確か17〜8歳頃の夏のある日。
不意に家で「Garota de IPANEMA」が流れ、ポルトガル語などちっとも分からない父が、ものぐさな態度はそのままに、
「そういや、この歌詞の”イパネマの娘”って人には実在のモデルがいて、当時お前と同じ位の歳のすごい背の高い女の子だ、って話聞いたことあるなあ。」
と呟きました。
父にしてはなかなかのマメ知識に、その頃から背の高いのをあまり気にしなくなった気がします。
もちろん「イパネマの娘」の曲の美しさも手伝って。

それから10年程度の時が経ちましたが、大好きながらも、最近までどう言うわけかジョビン作品に自分がトライする気持ちになりませんでした。
特に熱心に言っていたわけでもないのですが、たまに父らしくテキトーに「イパネマの娘やれよ〜。聞きたいなあ。」と言われても、なんとなく選曲しないままに、そんな父も他界してもう久しくなりました。

8月10日からの「Bubble Bubble Bebop」ツアーでは、当新譜には収録していないのですが、
どうしてか長い事トライ出来なかった。でも特に気にも留めなかった自分だけのエピソードを持ってあの素敵な「イパネマの娘」を皆様と会場で共有したいと思います。

その他にもたくさん仕掛けのあるBossa Novaや、新譜収録曲をお届けしたいと思います。

いよいよ7月に入り、今年も夏が来ます。
今年も楽しみましょう。

矢野沙織

矢野沙織 Bubble Bubble Bebop
2015 Live Tour

8/10(月) 横浜 モーションブルー横浜
8/21(金) 名古屋 ブルーノート名古屋
8/27(木) 大阪 ビルボード大阪
Bubble Bubble Bebop 2015 Live Tour 告知ムービー
2015年07月05日20:53 | Comment(0)